聴いている。
耳を澄まし、何かの声を聴いている。
画面に聴く。
呼吸を、整えて、観る。
すると、筆が行き着く先が、おのずと、わかる。
そこから、描く。
擦る。
その場の、その時の、綾線を、輪郭を、勢いを。
全身で、なぞる。
やがて、なぞり終わる。
その後、刷毛でのりを練って、無意識に描かれたものの上に、和紙を張る。
そうして、繰り返される。
絵画の中に、「過程」を全部込められる、と私は考えています。それは、素材や対象の選択のみならず、
人間が「生きる」ということすべてまるごとを指します。
また「過程」を発見していくこと、それは私にとっては「愉しみ」のあることです。なぜならば「過程」とは、
「終わりがない」こと、ある種の「無限」への志向性を孕んでいることだと思うからです。
絵画を描く上で、どこまでも「過程」に在り続けることは、この限られた「生」を「活かす」ことであり、
「生活」そのものであり、私にとってそれは、「愉しみ」です。